少し前に『プリズナートレーニング』が出版されたとき、「読んでみたいな」と思って図書館に予約リクエストを出した。予約リクエストを出してから順番が回ってくるまでに時間がかかったけど、今も変わらず健康的な体作りに興味があるので読んでみた。
僕が最も感銘を受けたのは筋トレのテクニックそのものではなく、筋トレを日常生活に組み入れる手法について書かれた「ブザーとともに生きる」という節である。著者は監獄で囚人として暮らしながら筋トレをしていた経験があり、「ブザーでスケジュールが区切られる」監獄生活が筋トレのルーチン化に役立ったと述べている。
この節は試し読みできる。
監獄で生活する。それは、規律がすべてであることを学ぶ生活だ。食べるための時間、眠るための時間、他者とふれ合うための時間、作業するための時間が決まっている。タイムテーブルに従ってすべてが行われ、自分でスケジュールをコントロールする自由がほとんどない。ブザー人生と呼び習わす監獄もあった。ある日のある行為がブザーの音で始まり、そして終わるからだ。
強制的なタイムテーブルの下での生活を何年間も続けたことで、わたしは、時間を尊重するようになっていった。入獄してしばらくすると、だれもが、ルーチンを上手にこなしていけるようになるが、それは、監獄暮らしが長引くと一般社会で生きていけなくなる理由のひとつにもなる。外の世界に出ると、タイムテーブルを失うからだ。何をすべきか、いつ行うべきかを教えてくれる人がいなくなり、迷子になる。自分でタイムテーブルをつくってそれに従う賢い〝元囚人〟もいる。そうできれば外の世界でのサバイバルが可能になり、レールから外れることを避けることができる。
僕はいわゆる「外の世界」で生きているわけだが、それでもブザーが必要なのかもしれない。自らタイムテーブルを作り、それを強制することでルーチンを作るのだ。
様々な要因から、外の世界にブザーを持ち出すのは難しい。僕の場合は「幼い息子」や「仕事の割り込み」がブザー導入の障害になる。次のようにするのはどうだろうか。
- 息子が必ず寝ている時間帯に、ルーチンを組み込む
- 仕事に関する情報をオフィスの外で読まない (緊急時を除いて)
数ヶ月後に「望ましい行動」を日々の生活に組み入れられているかどうか、チェックしてみようと思う。