リモートワークの達人」を読んだ。「NO HARD WORK!」と同じく BasecampJason FriedDHH が書いた本である。

なぜ僕は Basecamp の創業者の本を読んでしまうのか…。だいぶ前に「小さなチーム、大きな仕事」を読んで、それに感銘を受けたからだろうな。過去にはそれに触発されて「僕も制約を受け入れ、副産物を売るぞ」という具合の記事を書いたりもした。

「NO HARD WORK!」についての記事を書いたときと同じく、Basecamp の主張をずっと読んできた身としては特に新しい話はなかった。自分は Basecamp のファンではあるけど、頷きづらいところもあった。たとえば「本当に集中したいときにオフィスに行こうという者はほとんどいない」という主張には「そうでもないんじゃないか」と思った。僕が「小さなチーム、大きな仕事」を読んでいた頃は独身で、こういう主張には頷かされたけど、家庭で乳幼児を育てている身としては、家よりオフィスの方がだいぶ集中できる。リモートワークの恩恵を受けられるのは、そういう家庭環境にある者だけだ。

今の職場では、東京都の緊急事態宣言に応じて「消極的にリモートワークを導入している」という感じだ。みな「一時的に」リモートワークをしているという認識なので、さまざまなほころびが出ている。具体的に言えばマイクの音質のせいでミーティングの音声が聞きづらかったり、オフィス側とリモート側で情報格差が出たりという具合だ。本書ではリモートワーカーの割合が低いとリモートワーカーは「少数派」になるので意識的にケアしようという主張がある。まったくだ。しかし、こういう意見は会社全体としてのコンセンサスがなければ通らない。消極的なリモートワーク導入では改善も難しかろう。「本を読んで翌日から実践」というわけには中々いかない。

現職の消極的なリモートワーク導入を経験て思うのは「オフィスには行きたくないが自宅で働くのも難しい」ということだ。この本では「リモートワークは必ずしも自宅で働くことではない。コワーキングスペースやカフェなどで働いてもいいのだ」と主張している。僕も数年後にはそういう働き方をしていそうな気がする。ただし、その場合はリモートワークという働き方に積極的に投資をしている会社に移っているという前提がありそうだ。